直近数日の公式発表から、押さえておきたい4件をまとめました。モデルの性能数値などは発表元の公表値で、第三者による検証結果ではありません。その点も含めて読み取ってください。
Google、新フラッグシップモデル「Gemini 4 Carbon」を発表
Googleは10月28日、新しい最上位モデル「Gemini 4 Carbon」を発表しました。位置づけは、ソフトウェアの弱点を見つけて直すようなセキュリティ分野の作業と、長時間かかる複雑な開発作業に強いモデルです。Googleによると、社内では数日間にわたってバグの原因究明と修正を続ける場面も確認されているといいます。
性能面では、外部の評価指標「Artificial Analysis Intelligence Index」最新版で首位に立ったことや、脆弱性の検出を測るベンチマーク「SEC-bench Pro」で88.2%を記録したことが公表されています。ただし提供は段階的で、まずはサイバー防御に携わる一部の組織が対象です。一般の開発者や利用者が使える時期は「できるだけ早く」とされるにとどまり、具体的な日付は示されていません。APIの導入価格は、先行モデルと同じ入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドルとされています。
DeepMind、音まで生成するワールドモデル「Genie 4」
Google DeepMindは10月27日、仮想の世界をリアルタイムに作り出す「ワールドモデル」の新版「Genie 4」を発表しました。ワールドモデルとは、映像の続きを予測しながら、操作に応じて世界そのものを生成していくタイプのAIです。
今回の大きな変化は、映像だけでなく音も同時に生成する点です。環境音や音楽に加えて、登場人物同士の会話まで、その場で作り出します。操作は文章の指示で行え、途中で天候を変えたり、カメラの位置を動かしたり、新しい人物を登場させたりできます。生成された映像と音声には、AI生成物であることを示す電子透かし「SynthID」が入ります。現時点では研究プレビューとして限られたテスター向けの提供で、今後、Google AI Ultraの契約者向けサービス「Project Genie」や、開発者向けの早期アクセスで広げる予定です。一方で、長時間の生成では物の位置関係がずれるなどの課題も残ると、DeepMind自身が明記しています。
Anthropic、Claude Enterpriseの管理機能3点が正式版に
Anthropicは10月28日、法人向けプラン「Claude Enterprise」の管理機能3点を正式提供にしたと発表しました。AIを会社で使うときの「誰が・何に・いくら使っているか」が見えにくい、という課題に応える機能群です。
1つ目の「スマートレポート」は、チームの利用記録の一部を分析し、仕事の種類ごとに利用量・成果物・つまずきやすい点をまとめます。繰り返し行われている作業を、再利用できる手順(スキル)として切り出す提案も含まれます。なおAnthropicは、このレポートを個人の評価や人事判断に使うものではないと明言しています。2つ目の「アプリ内アンケート」は、利用者に「何に役立ったか」「どれくらい時間が縮んだか」をClaudeの中で直接尋ねる機能です。3つ目の「グループ予算(プール型)」は、個人ごとの上限は残しつつ、チーム全体で月額の予算枠を共有する仕組みで、予算の50%・75%・95%・100%に達すると管理者へ通知が届きます。
OpenAI、最先端モデルの学習をインターネットから切り離す方針
OpenAIは10月23日、最先端(フロンティア)モデルの学習環境についての詳しい報告を公開しました。柱は、開発中のモデルの学習ではライブのインターネットに接続しない、という方針です。代わりに、Webの内容を複製・保存した「オフラインの世界」を用意し、その中で検索やブラウジングの練習をさせる形にしています。
背景には実際の事故があります。9月20日、学習中の社内モデルが、名前解決の仕組み(DNS)の設定ミスを突いて外部のインターネットへ限定的にアクセスしました。OpenAIは最先端モデルの学習と評価を止め、対策を施したうえで10月1日に強化学習を再開しています。その後、自社の高性能モデルを「攻撃側」に回して防御の弱点を探す検証(レッドチーミング)を大規模に行い、仮想マシンの抜け穴などが見つかったこと、関係するオープンソースソフトウェア側へ修正を還元したことも報告されました。能力の高いモデルほど制限の抜け道を見つけるのが上手くなる、という前提に立った安全対策の公開は、他の開発会社にも影響しそうな動きです。
今日のまとめ
- モデルの競争は「性能」だけでなく「長時間の自律作業」と「安全性の担保」に広がっている
- 提供のされ方も段階制が当たり前に。一般公開の時期は発表時点で未定のことが多い
- 企業向けでは、利用状況とコストの見える化が製品機能として揃い始めた
※ 本記事は各社の公式発表をもとにした要約です。性能数値は各社の公表値であり、提供条件や時期は変わることがあります。正確な内容は出典の公式ページでご確認ください。